Nyanji
にゃんじん家は、バスを降りて山道を2時間ほど歩いた場所にある。時おり、牛の声、羊、鳥の声が聞こえてくるその道も、聞けばニャンジーが作ったという。
←バス停
ここには、機械や電気、水道といった、いわゆる文明の利器は何ひとつない。したがって、聞こえてくるのは風、水、緑、土といった自然の音、そしてそれに混じって牛や羊、鳥など動物の鳴き声だけで、しばし我を忘れる。静けさの中に豊かさを感じる瞬間でもある。
←ニャンジー家の近くを流れるマゾエ川。カバに出会うこともある。ニャンジー家にとっては、石鹸とタオルを持って水浴びにくる場所でもある。
敷地内には、広大に広がる畑を目の前に、きのこ型の小さな家がポツポツと点在している。大きめの台所の棟を中心に、夫婦、息子たち、娘たちの棟が散らばっている。牛や羊の柵もあり、さらに、小さいながら、トイレ、風呂の棟まである。
番犬のスポンサとジピ。
昼間は決まってお昼寝だ。
夕方近くになると、夫人がトウモロコシを臼の中に入れ、杵で砕いて粉にしておく。やがて日が暮れると、台所の囲炉裏に火がくべられ、大鍋に水が入れられて夕食の準備が進められる。
沸騰した鍋の中に、先ほどのトウモロコシの粉を溶かしてジンバブエの主食の「サザ」を作る。普段は「レイプ」という日本の高菜によく似た野菜を炒めたものをおかずにしてサザを食べるのだが、今日は久しぶりの来客ということもあり、息子が捕獲してきた野ウサギが振る舞われる。ジンバブエのどぶろく「チブク」を飲みながら、久しぶりの再会を喜び合う。← チブク
やがて食事が終り、外に出て、チブクの酔いがまわってきた頃、ニャンジーがムビラを奏で始める。
星空の下、焚き火を囲んでの演奏に、子供たちが跳ね踊る。
人間の五感が自然や宇宙に支配されたときに人は天を感じ、地を感じる。そしてそこに我を感じる。こうやって対極にある我は無なのだと、我は有なのだ、ということを同時に感じていると、ここは天国ではないかと思うことがよくある。ここではこんな昼間の太陽がさんさんと輝いているときでさえ、空想、夢想を繰り返す。
この情景が教えてくれることはすごくシンプルなことだ。それは「子供の為の未来」を作るということ。「大人が考えた子供の未来」ではない。キャッキャッキャッと喜ぶ子供たちを見ながらそんな思いにふける。自身が宇宙に溶け込み、我を忘れるといった幻想的なここでの体験は今でも記憶に新しい。
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