できたてのフレッシュなムビラは、金属でできたキーを木のボードにワイヤーやボルトなどで縛り付けた直後で、金属は金属、木は木という感じなのだが、長い年月をかけて弾き続けることによって金属と木が圧着して一体化してくる。木が手に馴染んでてかてかになり、キーも軟らかくなって指の当たる部分がぴかぴかになった頃、ある日気が付くと、堅かったムビラの音色が柔らかく変化しているのだ。音が甘みを帯びてきて、それはあたかも青い果実が熟成して深く色づくかのようである。
ところで、ウッドの部分は主に「ムクワ」というジンバブエにしか生えない木が使用されている。この木材の品質や樹齢も、ムビラの音色や響きに大きな影響を与える。500年の歴史の中で、数多くのムビラメーカーが他の種類の木材を使用して試行錯誤を繰り返したのだが、結局もっともムビラに適しているのはジンバブエのムクワであったということである。
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