Garikai Tirikoti

まずは下の図表をご覧いただきたい。タイレワ、バンギーサなどとあるのはガリカイ氏が特定の「音の並び(チューン)」に付けた名称で、それぞれのチューンはその上に記した音階に属することを示す。

この中でソロ演奏で使用するのは主に、ミディアムチューンのマレンベとネマムササの2種類。ネマムササはメジャーチューン、マレンベはマイナーチューンとなる。

ミディアムをはさんでちょうど1オクターブ離れた位置に全く同じチューンが配してあり、Cにタイレワ、E♭にバンギーサ、マオロロ、ヤバンゴの各チューンがある。これら超高音、超低音のムビラはソロでは演奏されず、バンド構成のセッションにおいてそれぞれが高音部、低音部を担当するムビラとして使用される。

これを見ると、いかにもタイレワをセッションするときは高音のタイレワチューンと低音のタイレワチューンを使うかのように思われるが、ガリカイ氏のスタイルでは必ずしもそうはならない。タイレワチューンで何を弾いてもかまわないし、違うチューン2台でセッションもするし、それどころか同じ曲でセッションしなくてよい場合がある。たとえば、1人がマオロロを弾き、もう1人がそこへヤマロパという違う曲を合わせるといった具合。この自由さはジャズのインプロヴィゼイションに大変似ている。弾く人間の感覚とムビラの音色次第でどのようにも即興できるという、前衛的な演奏なのだ。

ところで、このヤバンゴ・チューンというのは、ガリカイ氏がジンバブエで(世界で)初めて発見したチューンだそう。ガリカイ氏に限らず、アーチストが就寝中に夢を見て、その夢の中で今まで自分が知らなかったチューンを教えられ、起きてからそのチューンをムビラを作ったというのは、実はしばしば聞く話である。

 

 

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