Mbira Junction / ムビラ・ゼナリラ

ムビラ・ゼナリラの音と並んで、外せないのがゼナリラのダンサーのトンデライ・フィリーである。ハラレで行われるライブでは小さなカフェの中を飛び跳ねながら、まるで雲の上で踊っているような極上「天国ダンス」を披露してくれる。あるがままに踊るそのダンスを見ていると、こっちまで踊らないではいられなくなるのである。

■今日は「未来女性」について語っていただきたいのですが。
Ｔ：なにそれ（笑）？
■いや、あの、今の時代、さまよえる女性が多いので、何か彼女達をシンプルにしてあげられる言葉があったらと思いまして。
Ｔ：う～ん。そうだね。最近、僕の友人が結婚したんだけど、人の結婚とか子供ができるという過程はすべて御先祖によって決められているんだよ。なぜなら、彼らは一番、神様に近いからなんだ。だから、人の人生におこる全ての事象は彼らがシナリオを書いて、生きている僕達はそれを演じているというわけさ。彼らが操っているということではなくて、僕らと彼らは同じものなんだ。でも、何か事故なんかがあると、彼らは僕達を守ってくれたりもするんだ。

■なるほど。正直言って、私もアフリカに来るまではあまり興味がなかったんですが、今は子供という存在が大事なものと感じています。
Ｔ：そうだね。子供というのは大事な存在だ。子供は僕達がそうだったように、今の文化というものの中に父親、母親という背景を持って生まれてくるわけだよね。もし君が子供を持たなかったとすれば、君が死んだ後、誰も君のことを語らないし、誰も君の死についても語らないし、誰も君のご先祖の事だって語らないんだ。もし君が子供を作ったとしたら、またその子供が子供を作って、家系が絶えることはないんだよ。それだけで、全ての子供は生まれてきた理由があるんだ。

■そうですね。ただ、今の日本なんかだとそのスピリッツの流れが見えなくなっていて、そのような簡単なことがわからなくなってきているんですよ。
Ｔ：う～ん、そうだね、僕がいろいろ聞いた日本人の話の中で思うのは日本人の御先祖が伝えてきたスピリッツとムビラのスピリッツはすごく似ているということ。だから今、彼らははムビラ音楽を聞いて、このスピリチュアルな音に集中する時だと思う。
さらに日本文化とジンバブエ文化はその中の似た部分を共有して、新しい文化を創る事も可能だと思う。
今、僕たちの国、君たちの国、そして世界中の国々にさまざまな問題があるけれど、僕達がそのスピリッツを取り戻して、向上させていけばもっといい世界が開けてくると思うよ。

例えば今の時代、すごい病気が猛威を振るっているけど、その中のいくつかは御先祖からの罰も含まれているんだ。なぜなら、人々が御先祖の言うことに耳を傾けないからなんだよ。もしかすると、彼らはこのアフリカにいたのかもしれないし、日本にいたのかもしれないが、今ではもう忘れ去られてしまっている。それは「現代の知恵ではない古臭いもの」として過去に葬り去られたのかもしれない。

でもね、彼らはすごく簡単にそれらの病気や問題を治してくれるんだよ。しかし、そのことを理解するためには「僕達がどこから来たのか」という文化を守り、続けていく必要があるんだよ。そしてそれは最も重要なことなんだ。
■それでは、最後に日本のムビラ・ファンの人たちにメッセージをお願いします。
Ｔ：まず、スピリッツを高めること。そして、経験をつむこと。それから、考えることだ。それらを深める最もよい方法はムビラを弾いて気分をリラックスさせること。それが全てのことを理解することになると思うよ。そして、その全てはあなたの経験、実行にある。
■今日はどうもありがとうございました。
Ｔ：ありがとう。

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トンデライ・フィリー氏は2009年1月に永眠されました。心よりご冥福をお祈りいたします。